家族の絆を見守り続けた小さな犬の物語 (第四話)

奇跡 アニメ風物語
Illustration by Lashkevich Nataliya (Instagram : rinrinrin391)

これは、家族の絆を見守り続けた小さな犬の物語です

第四話

前回までのお話は、私とお母さんがシンガポールから日本に帰国してからの生活についてでした。お母さんと一緒に数年間暮らした後、今度はお父さんと一緒に三年ほど暮らしました。私はこうして家族の間を行ったり来たりしながら、家族みんなにとても大切にしてもらいました。

 

15歳になった私

15歳になっていた私は、お母さんが仕事で家にいない間はもちろん、お母さんが家にいる時でも、寝て過ごすことが多くなってきました。

 

とこちゃんの予感

そんなある日、お母さんの家に帰って来ていたとこちゃんが不吉なことを言いました。「久々にリンスを見たけど、すごく小さくなっている。なんだかこれがリンスに会えるのが最後の様な気がする。だから今日はリンスをいっぱい抱っこしてあげよう」と。

 

お母さんが帰ってきて嬉しい

ある日、いつものように会社から帰ったお母さんに、私がいつものように喜んでお母さんの足元をぐるぐる回って飛びついていきました。

 

目の怪我

その時、お母さんの手が私の目に当たりました、私は目を細め、痛いような違和感を感じ、しきりに床に目をこすりつけようとしました。

 

動物病院で診察

あくる日、目やにがひどくなり、早速動物病院に連れていってもらいました。しばらく様子をみるようにと目薬をもらって家に帰りました。

 

眼科専門医を受診

一旦は良くなってきていましたが、また床で目をこすりつけた影響なのか、とうとう目やにで目が開かなくなっていたので、また医者に連れて行ってもらいました。先生から、目に穴があいてしまったと言われました。
それから、お母さんは眼科の専門医に私を連れていきました。そこでの診断は、随分前から目が白くなっていたのですが、それは、塩分が表面に上がってきていて目がふやふやにふやけていた状態だったので、少しのほこりが入っただけでも目に傷がつく状態だったそうです。それから本格的に目の治療を始めることになりました。

 

不安な毎日

元気がなくなったら、深夜でも救急病院に連れて行ってもらい、点滴を受けては元気になり、ご飯を食べるそんなことを繰り返していました。点滴後は少し元気になるので、フードや好きなチーズを食べれるだけ食べました。

 

動けなくなる

こうしたことが、良くなかったのか。私は突然、一歩も動くことができなくなりました。

 

緊急入院

慌てて病院にいき、緊急入院となりました。診断は膵炎。お医者さんの話では、異常値の値が、例がないほど高くかなり深刻な状態でした。

 

深刻な状況

その日の夜、とこちゃんが遠方から新幹線で来てくれました。そして、二日目にはこうくんもきてくれました。三人で病院に来てくれましたが、私の容態は悪く、意識があるのかどうかわからないような状態でした。

 

奇跡

入院3日目、こうくんと、とこちゃん、そして、お母さんの三人がまた病院に来てくれました。昨日まで横たわっていた私は、みんなを見たとたん、元気に動き回ることができ、嬉しさのあまり大きく尻尾を振って、皆の方に向かってゲージに何度も何度も飛びついていきました。

 

命の輝き

三人とも涙を流しながら喜んでくれて、私をかわるがわる抱っこしてくれました。獣医の先生によると、家族にあったとたん、こんなに元気に喜んでいることに驚かれていた。検査数値も奇跡的によくなっていた。その日、こうくん、とこちゃんは元気な私の姿をみて安心して、それぞれ帰っていきました。

 

翌朝

翌朝、お母さんも仕事に行きました。午後2時、お母さんが再び病院に来てくれました。昨日のような元気な私に会えることを疑わず、足並みもルンルンしながら。

 

お母さんを待っていたのにお母さんの声が聞こえない

看護婦さんが昨日と同じ場所までお母さんを案内してくれました。お母さんは私を見て、即座に異変を感じたようで、「リンス」と慌てて声をかけてくれました。しかし、お母さんの声が聞こえず、私は座ったまま、反応することができませんでした。

 

お母さんと気づく

びっくりしたお母さんは、急いでゲージから私を出し、抱きかかえ、大声で先生を呼んでいました。抱いているのも、ダメに思えたのかゲージの上に私をそっと置きました。

 

立ち上がる

しかし私は、すぐに起き上がろうとして、バタンと横になって倒れ、もう一度起き上がろうとして、またバタンと倒れました。その後起き上がれなくなりました。

 

お母さんとの最後の時間

その時私は腎不全になっていて、すごい激痛に襲われ、体は少しも動かせないまま、大声で唸っていました。お母さんは、泣きながら私を何度も何度も撫でました。

 

お母さんとのお別れ

お母さんは、翌日仕事で病院に一晩中ついていてあげれないこと。いろいろな理由が頭の中を素通りしていきました。そこには、全てを悟ったような、感情がまったくなくなっているようなお母さんがいましたが、お母さんは夜10時半に病院を後にしました。

 

危篤の知らせ

翌朝6時ごろ、先生から私の危篤の電話がお母さんにいきました。お母さんが病院に来たときには、手術台のような治療室に寝かされ心臓マッサージを受けていました。その情景を見て、お母さんは驚いて取り乱しながら「リンス」と叫んでいました。

 

ずっとずっと一緒だよ

今も、私は家族みんなの心の中に生きています。大好きなみんなとずっとずっと一緒だよ。

 

これは、家族の絆を見守り続けた小さな犬の物語です

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