【書評】君がいてくれたから(北尾洋子) 動物好きな人を幸せな気持ちにしてくれる本

世の中にこんなに優しく、あたたかい物語に満ち溢れている動物病院があるなんて、私は本当に嬉しくなりました。

この本には、動物との素敵な出会いの18のお話が収められています。女ドリトル先生と言える動物病院の院長婦人先生と新米で少し不器用な若い男の先生が、動物との出会いのエピソードを、自ら語る形式で綴られています。

それぞれのお話に出てくる動物たちは本当に愛おしくて可愛くて、動物好きの私にはたまらないです。物語は、それらの動物の飼い主や、庶民的で温かい地域の人々など病院を取り巻く人々が織りなす温かくて素敵な物語の数々です。

これらのお話を通して私が最も素晴らしいと感じたのは、動物を飼って、愛するという経験を通して、人々がとても優しくなり、とても幸せで何事にも代えがたい貴重な経験をしているという事。とりわけ子供たちは、子供時代に動物に対して芽生えた愛情を経験することが、後に大人になった時、その子の人生にとって、大きなプラスの影響があるという事です。

また動物病院は、単なる病気や怪我をした動物を治療するだけでなく、地域に根差し、地域の人々と一緒に成長していく大事な役割があることを知りました。これらのお話はもちろん全て動物が主役ですが、それぞれのお話に出てくる、飼い主や家族、そしてこの動物病院の先生方の素敵な生き方のお話であるとも言えます。

作者がまた生まれ変わっても、夫の医院長先生と二人で獣医師としてペットを伴侶として共に暮らす人生を選ぶと述べておられるように、著者は、獣医師という大切な命に向き合う仕事を通して、自らが切り開いてきた素敵な人生に最高の幸せを感じておられて、とても素晴らしいと思いました。

院長婦人先生の「動物のお医者さん」としての40年余りの、数々の動物との出会いのエピソードをエッセンスにしたこれらお話は、この本を読んだ人々の心に、あたたかいぬくもりを与えると思います。

動物が大好きなすべての方に、そして若い獣医師さん、あるいは獣医師を目指す人たちに読んでもらえたら、とてもうれしく思います。

そうして読み終えてくださった方の心に、どうぶつたちの体温のような優しい温もりを残せたらなら、これに勝る喜びはありません。

引用:君がいてくれたから 日本一しあわせなどうぶつ病院の話 北尾洋子(著)

著者が、本書のあとがきで述べておられるように、この本は、読まれた方の心に優しい温もりを残してくれると思います。みなさまも、一度読んで見られたらいかがでしょうか!

 

君がいてくれたから 日本一しあわせなどうぶつ病院の話

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