これは、家族の絆を見守り続けた小さな犬の物語です
第三話
前回までのお話は、私とお母さんのシンガポールでの生活についてでした。マーライオン公園、シンガポール国立博物館、ホーカーズ、どこに行くのも、私はいつもお母さんと一緒でした。当時私は4歳で何を見ても好奇心一杯の時でした。お母さんのシンガポールの会社のみんなにとても可愛がってもらって毎日とても楽しかったです。しかし、こう君が、私に会えないことにとうとう我慢が出来なくなり、私を連れてすぐに帰国をしないと親子の縁を切るとお母さんに最後通告をしました。お母さんはすぐに帰国をする決心をしました。
日本に帰国した後、最初はゼロからの出発でした。最初はお母さんのお給料は少なく、経済的にもぎりぎりの生活だったため、アパートの条件はとても悪かったです。しかし、お母さんの会社での地位が次第に上がり、お給料が上がっていくにつれ、お母さんは、私にとって条件のいいアパートへと、引っ越しを繰り返しました。 一回目のアパートは、電車とバス乗り継ぎの通勤で、会社からかなり遠かったです。
二回目のアパートは、会社まで自転車で15分の狭いワンルームのアパートに引っ越しましたが、隣に別のマンションがほとんど隙間なく建っていたため、唯一あった窓からも、まったく光が入らず昼間でも真っ暗でした。
三回目のアパートは、会社に歩いて10分の便利な場所で、2DKと部屋が広くなりましたが、ペット禁止だったので、飼っていることを内緒にしていました。他にも犬や猫をこっそり飼っている人もいましたが、管理人さんに度々注意されるなど、居心地が悪く引っ越すことにしました。
四回目のアパートは、現在のアパートです。会社から歩いて10分の近さ、ペットOKの広めの2DK。駅にも近く、日当たりもよく一番良い条件です。
お母さんは、仕事に行っている長い時間、狭い部屋に私を1人留守番させるのが、とても不憫に思い、お母さんは、朝5時に起きてから、そして夜会社から帰ってから、毎日雪の日も、風の日も1時間たっぷりお散歩させてくれました。私はお散歩が大好きでした。
いつも散歩で通る道に、ゴールデンレトリバーが小さな玄関先につながれていました。夏は直射日光が直接当たっていて、その子の足元は糞尿まみれで、ハエがたかっていました。誰が見ても飼い主がまったく世話をしていないのがわかり、すごく可哀そうでした。お母さんは、いつもその子の前を通るとき、私を大事そうに抱っこしてくれて、私をこの子のようなかわいそうなめには、絶対にしない、私を一生大切にするというお母さんの強い気持ちが伝わってきました。
お母さんは週末、私を連れてこうくんに会わせに行ってくれていましたが、こうくんの仕事の休みが不規則になり、お母さんの休みと合わなくなりました。こうくんが私とあまり会えなく、とうとう我慢が出来なくなり、こうくんが私にもっと会えるようにと、こうくんと同じ県内に住んでいるおとうさんに私は預かってもらうことになりました。
お父さんは、私を預かることを断ろうとしていましたが、いやいや私を預かってくれることになりました。
しかし、実際は違いました。お父さんは、お母さんには嫌味を言いながら、いやいや預かる様子を見せていましたが、実は私をとてもかわいがってくれました。
お母さんは、私を手放しペットロスになり、寂しい毎日を送りました。そして3年の月日が流れました。
ある日、お母さんとおとうさんが久々に会い、大喧嘩になりました。その時の喧嘩のはずみで、お父さんが、「犬を連れていけと」どなりました。しかし、本当はお父さんは私を手放したくはなかったのです。
その結果、お母さんはまた、私との生活を始めることが出来るようになりました。お母さんにとっては私との幸せな生活が戻ってくることになりました。
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